loop

ALOHA


おいしい物を食べている時、

幸せな気持ちでいっぱいになる。


ああ…
おいしすぎて食べ終わりたくない…


そんな事を考えながら、
ちまちまゆっくり食べていると


結局お腹がいっぱいになって最後まで食べられない時もある。





週末のまったりデート。


”今夜は何を食べる?どこに行く?”

と、お昼からディナーの話。



行動範囲は決まっていて

いつもの決まったお店か、

”たまには開拓!”と、全く知らないお店に入るか


busyが仕事先の人に連れて行ってもらった!というお店。



”エストネーションで買い物したいし、今夜はその辺りで探そうか。”


というので、閉店間際のエストネーションでショッピングをした後


外に出て、麻布十番方面に歩き出した。


前回開拓したしゃぶしゃぶやさんがいい感じだったのを思い出し

あそこにしようか、と
向かっていた矢先



”そういえば、この間⚪︎⚪︎の代表に連れていってもらったお肉屋さん、
このへんだったな。”


とウロウロしだしたbusy。


待って。そんな人が連れて行ってくれる所なんて
とんでもない所なんじゃないの…



あ!ここだー!
と見つけたそこは、
看板ナシ。メニューナシ。

ただのドアとインターホンのみ。



え?ここ?!お店なの?


ピンポーン。


”あ、先日⚪︎⚪︎さんと伺った者なのですが…”


と言った瞬間、オートロックが
ガチャっと開いた。


ドアを開けると雰囲気のいい階段が。


地下に下がると、感じの良いオーナーに出迎えられた。



”奥の個室へどうぞ。”


と通された個室は、着くまでにドアが3つ。


何処へ向かっているんだ…と心配したくなるほど


厳重なドアを3回開けて、やっと席にたどり着いた。



メニューは、コース料理のみ。
しかも、値段が書いていない。



え、これいくらするのよ。


という心配をよそに


”⚪︎⚪︎さんがいつもオーダーしているコースで”


というと、

”メニューにはないのですが、特別に。”





余計に心配になる。


いくらだ、いくらなんだ。



話す声が自然と小さくなる。



”ねえ、値段が全くわからないじゃん。ちょっとこわい。”


と小声でチクチク言うと


”これも、勉強だよねえ。
なんとなく値段の予想はついてるけどね。
接待でお客さんを連れてくるのにメニューに値段書いてないの良いんだよね。
それと、料理の値段ってもう決まってるじゃない。
普段食べるような所が2万くらいでしょ。
おいしくて食べて飲んでも、それくらいが限界。
普段行くような所で2人で3〜6万っていくら食べて飲んでもなかなかいかない。
2万のごはんやさんを越えると食材がもっと高級になるから
今度は3-6万じゃおさまらない。
だからその界隈の人たちが利用するような所で大体2人で7万くらい〜だと思うよ。
1.5〜2万の所と7万くらい〜の所しかないんだよねえ。極端だけど。”



さらに先日の仕事で使われたごはん会が
10人で何百万だとか聞いて、私はひっくり返りそうになった。

何をどうしたらそんな値段になるんだ…

世界中の高級食材を集めたら、そうなるのか。


いや、もうきっとそれはごはんにお金がかかっているんじゃない。

絶対絶対違う。(その時はシェフを呼んでどこかを貸し切ったとかどうとか)


スーパー高級なお皿か?はたまた全ての食材を空から空輸してもらっているのか?
(いま採れたてです!fromイタリア!みたいにリアルタイム空輸。妄想だけど)


もしくはシェフ+右腕達+スーパー高級カトラリーに加え
スーパー高級テーブルチェア持参にインテリアも持参でそのレンタル料込みとか?


訳がわからない妄想が膨らんでいる中、料理が運ばれてくる。







この間食べたトリュフスープが絶品だったから
絶対に食べて欲しい!とそれも追加してくれたが

本当の本当に絶品で

これはもう’食べ終わりたくないと願うリスト’に速攻で追加された。






料理ももちろんだけど、やっぱりやっぱり、

店員さんとオーナーが最高に気持ちが良い方たちだった。


本当に素晴らしくて、お料理がより一層おいしく感じられた。


いつも決まっていく所も、店員さんとオーナーが

良い方たちばかり。

どうせ行くならおいしくて、気持ちが良い所がいい。


どうして”この人、気持ちがいいな。”と思うのだろう。


ただニコニコしているだけじゃない。

ただハイハイ言っているだけじゃない。


お客さんに対して、ちゃんと興味を持っているんだなあと

わかる人が多いな。


これからの課題にしよう。

”この人、気持ちがいいな”と思えた人の良い所を観察する。


でも、”なんでだろう?けど、気持ちがいい。”って思うのだから


きっと本当にさりげなくて、暖かい人間性が滲み出ているんだろうな。


気持ちいい人って、いいな。



さて、そろそろお会計。

お腹いっぱい。〆はお持ち帰りにしてもらって。



ドキドキ。



や、やっぱり予想通りのお値段。

私はひっくり返りそうになったけど


”いい勉強になったなあ!今日はいいお金の使い方ができた!”



と、気分が良さそうなbusy。



あ。そういえば



”お金を気持ち良く使う人には、またお金が戻って来る”


とこの間どこかで読んだな。


”あー高いな。お金払うのやだなー。”


とネガティブな思考でお金を出すと、

お金は戻ってきてくれないらしい。


ふむふむ。そういう事か。



金額が安い、高い関係なしに
こういう使い方、払い方は真似しよう。


満足!と思いながらお金を使うほうが、気持ちがいいもんね。




その次の日の夜も外食だったから


昨日は私がパパッと作った和食を。



仕事をしているbusyに、できた料理からどんどん出して行って


ビールと一緒につまんでもらっておくスタイル。



最後の料理を出し終えたついでに私も横に座って


いただきまーす!と食べようとしたら




ササーっとテーブルを片付けて


”俺、そっちに行くよ”

と私の目の前に座った。



以前から言っている通り、私はごはんやさんでもバーでも
隣に座るのが好きなカウンター派なので


移動しなくてもいいじゃーん。


と言ったら


”顔見ながら、食べたいから。”





今でもその言葉が頭の中を無限にループしている。





高いごはんやさんの広いテーブルで離れて座るより



おうちでキュッと寄せ合って食べるディナータイムの方が



こんなにも幸せとは……





初めて、彼のおうちでごはんを作って


初めて、そんな幸せに気がついた夜だった。




今でもずっと、無限ループから抜け出せない。


MAHALO